Abstract ― 要旨
消毒用アルコール。
模型専用品ではない。
薬局にある。
家にもある。
コロナ禍を通った家庭なら、棚の奥から一本くらい出てきても不思議ではない。
では、それでガンダムマーカーを消せるのか。
8種類比較では、
「意外と落ちる」
という結果になった。
だが、それだけでは足りない。
1時間なら落ちる。
24時間後は?
細いパーツではなく、広い面なら?
直接吹き付けて少し待ったら?
一度使えると分かると、人はすぐ欲張る。
ならば試そう。
Background ― なぜ消毒用アルコールなのか
ガンダムマーカー専用の消し方はいくつもある。
だが模型を作っている最中、
いつも専用品が手元にあるとは限らない。
一方、消毒用アルコールは比較的入手しやすい。
しかも、ガンダムマーカーもアルコール系。
ならば、
「同じアルコールなら何か起きるのではないか」
と考えたくなる。
人間というものは、名前が似ているだけで関係があると思いたがる。
だからこそ、実際に試す。
Objective ― 目的
消毒用アルコールが、
ガンダムマーカー修正用として、どこまで実用になるか
を確認する。
今回は、
・1時間乾燥
・24時間乾燥
・小さな試験片
・広い塗装面
・スプレー後3分放置
の条件を見た。
Experiment 1 ― 1時間乾燥
ガンダムマーカー・メタバイオレットを塗布し、1時間乾燥。
消毒用アルコールで拭き取った。

結果。
落ちる。
思っていた以上に反応した。
もちろん完全に新品状態へ戻るわけではない。
若干のムラは残る。
しかし、
「少しはみ出した」
「広めの部分を戻したい」
という修正なら、十分使える可能性を感じた。
Experiment 2 ― 24時間乾燥
次に同じ塗装を24時間乾燥。

ここで状況が変わる。
1時間後ほど素直には落ちない。
拭いた跡も残りやすい。
塗膜がしっかり残る。
1時間の塗料が、
「まだここに住むか迷っている」
状態だとすれば、
24時間の塗料は、
住民票まで移している。
追い出すのは少し大変になる。
つまり、
消毒用アルコールを使うなら、
修正は早い方が楽
という、当たり前のようで重要な結果になった。
Experiment 3 ― 広い面でも使えるのか
小さいパーツだけで判断するのは面白くない。
そこで追加試験。
長物パーツへガンダムマーカー・ホワイトを塗布し、24時間乾燥させた。

細かいはみ出しではない。
広い面だ。
ここへ消毒用アルコールを直接吹き付ける。

そして、すぐには拭かない。
3分待つ。
人間は待つのが嫌いだ。
だが化学反応に、
「急いでいるから」
と言っても通じない。
3分後、ウエスで拭き取った。

ここが面白かった。
広い面の白はかなり落ちた。
しかも、
モールドの中には適度に色が残る。
全部を消すだけではない。
表面を落とし、
凹部へ色を残す。
使い方によっては、
意図的な拭き取り表現
にも使える可能性がある。
Results ― 結果
今回の条件では、
1時間乾燥では比較的よく落ちた。
24時間乾燥では明らかに落ちにくくなった。
そして広い面では、
スプレーして数分置いてから拭く方法が扱いやすかった。
専用品ほど強力ではない。
しかし、
「弱いから役に立たない」ではなかった。
むしろ、
その弱さが扱いやすさになっている。
Discussion ― 強すぎないことにも価値がある
模型用品では、
「よく落ちる」
「強力」
という言葉が魅力的に見える。
だが、強いということは、
こちらが残したいものまで持っていく可能性があるということだ。
消毒用アルコールはT-06Mほど強くない。
24時間後には苦戦する。
それでも、
広い面へ使う。
少しずつ様子を見る。
モールドへ色を残す。
そんな作業では、この中途半端さが都合いい。
最強の武器が、
いつも最適な武器とは限らない。
市街地に戦艦の主砲を撃ち込む必要はない。
綿棒一本で済むなら、それでいい。
こんな時に向いている
消毒用アルコールが向いていると感じたのは、
・広めの面を修正したい
・塗装直後〜比較的早い段階
・専用溶剤を出すほどではない軽い修正
・家にある物でまず試したい
という場面だ。
逆に、
24時間以上乾燥した塗膜を確実に消したい。
細い境界をきれいに作りたい。
そういう場合はT-06Mの方が向いていた。

Limitations ― 本実験の限界
今回確認したのは、
特定のガンダムマーカーと無トップコート条件が中心。
アルコール濃度や製品によって結果は変わる可能性がある。
また、下地に別の塗料がある場合、
下地まで影響しない保証はない。
塗装済みパーツへ使う場合は、
目立たない場所で試してから使う方が安全だ。
Conclusion ― 結論
消毒用アルコールは、
ガンダムマーカー専用の最強リムーバーではない。
24時間乾燥すると苦戦する。
T-06Mほど正確に消せるわけでもない。
だが、
家にある。
手に入りやすい。
広い面へ使いやすい。
そして今回、
24時間乾燥した白塗装でも、
スプレーして3分待つことでかなり処理できた。
完璧ではない。
だからこそ扱いやすい場面がある。
消毒するために生まれたアルコールが、ガンダムマーカーの失敗まで処理する。
そんな仕事を頼まれるとは、
アルコール側も思っていなかっただろう。
だが仕事をした。
ならば評価すればいい。
道具の肩書きではなく、
実際に何をしたかで判断する。
それが実験である。



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